流れ旅日記5 高松~窪川

4日目
とにかく寝苦しい宿を一度出て、朝うどんを食う。
香川の人々は朝飯をうどん屋で済ますので、早朝からうどん屋が開いている。
nagaのガイドに従い入った一軒目のうどん屋は、奇しくも10年前にタクシーに聞いて入った店だった。有名な完全セルフの店。
で、大変旨かった。
勢いに乗って、もう一軒。
1玉ずつとはいえ、さすがに満腹になる。
一度宿に戻って荷物を取り、鬼ヶ島へ。
高校野球が熱かった。

瀬戸内はかなり水が濁っていた。
汚いというのではなく、何か生命のスープというか、微生物とかのせいで透明度が低い印象。
鬼ヶ島は、古い民家があるものの、人が住んでいるとは思えないような何とも言えない風情だった。
仕事なり学校なり、大体香川に出かけてしまうのだろうなー。近いし。
ビーチには海の家が並んでおり、客引きがなかなかしつこい。
枡席一日3000円。高いので荷物は放置する。
nagaは浮島でずっと寝ているので、一人でごそごそ泳ぐ。
なかなか素敵なリゾート気分だが、本当に見通しが悪いので今にも鮫が出てこないかと常時不穏な感覚が残る。
大人なので程々に泳いで港へ戻る。
港に併設されたちょっと大きめな売店に鬼資料館(有料)があり、nagaは「ウヒョ~」というような勢いで入っていく。
俺はおっさんなのでビールを飲む。
えらく無愛想なオバハンがネギを刻んでいたが、なんとか意思疎通をして皿をもらい、おでんを食う。随分濃いタレで、汁を飲めないタイプの提供方法だが、これが絶品な味だった。
みんな、鬼ヶ島に行ったらおでんを食おう。

船で高松に戻り、ここから電車で四万十上流の窪川へ。
四国は周遊切符を色々と企画しているようで、駅員のお姉さんに相談したら随分と交通費が安くなった。
みんな、四国に行ったら駅のお姉さんに相談しよう。
弁当を買い、やれやれと食った後はぐっすり眠る。
本当はここで、お互いに相手に読ませるための文庫本を交換したのだが、まあとりあえず眠る。先は長い。
俺は東直己「ススキノハーフボイルド」
nagaは村上龍「希望の国のエクソダス」
目覚めたら…痛風が発生していました。足の裏に来た。
以後、ゾンビのように歩かざるを得なくなる。
とはいえ慣れた痛みだ。慣れたくないけど。

ゾンビのように窪川着。
位置関係を把握するために、駅前のたこ焼き屋で調べたユースホステルの場所を聞く。
ここのたこ焼きが大変旨くて上機嫌。痛風はどうした。
nagaは商売やってるのかどうか分からない洋菓子屋で、大量にうずたかく積まれたシュークリームを買う。旨かったらしい。
昔の、懐かしい旨さらしく、俺のたこ焼きと同様の感想。
別にたこ焼きを揚げる必要は無いと思います。
ユースホステルは当分満室らしく、途方に暮れる。
一軒の宿に声をかけるも、鍵はかかってないが人の気配がない。
もう少し歩いて目についた、まるか旅館へ。
nagaは翌日の四万十へのアクセスを気にして随分慎重に宿を決めようとしているが、俺は素晴らしい眼力でこの宿の掃除の行き届いた様子に惚れ込み、とにかくここに泊まろうと決意する。うそ。出てきたお姉ちゃんのかわいらしさに一目惚れして、ここに泊まろうと決意する。
ともあれ、この宿の掃除が素晴らしいのは確かで、随分古い宿であるにもかかわらず、塵一つ無いような徹底した掃除が行き届いている。田舎の風さらしの、家族経営の宿としては驚異的な事だ。
出てきたお姉ちゃんが女将を呼んできて、泊めて頂ける事になった。どうも親子らしいが、女将も美人だ。
多分、徹底的に掃除をしているのはこちらの美人だろう。
若い方の美人は溌剌としていて、なんだか少女のような笑顔を見せるが、どうもさっきから、「おかあさーん」と後を追いかける2足歩行の小さい生き物がちらちらと目の端をやかましく駆け回っている。
何かの間違いだろうと、気にしない事にする。

部屋も大変掃除が行き届いており、一息ついてから窪川の探検へ出る。晩飯はどちらでもいいらしいので、探検マップをもらい、外で済ませる事にする。
大変モダンな(この場合逆に古いという意)メイドがいるという、喫茶店へ(また名前忘れた)
もの凄くぼろい。
そして、天井が低い。
そして、変なニオイがする。
そして、普通のおばあちゃんが一人きりでワイドショーを見ていた。
そして、クタクタになったソファーに座る。
そして、俺はなるべく安全そうなコーラを頼み、nagaは果敢にもアイスコーヒーを注文した。

アイスコーヒーと聞いたおばあちゃんは、おもむろにコッフェルに火をかけるストーブのような器具(要するに本格的なのだ)で、コーヒーを作り出す。
まあ何だか間も持たないのでワイドショーを肴に世間話やこの辺りの回る順序などを相談。
しばらく待つとコーラやアイスコーヒーが来るので、とりあえず口を付ける。
「このコーヒー、旨い!」とnaga。
本当に感動しており、旨いらしい。
コーラはぬるい。
nagaがコーヒー旨いですねーとおばあちゃんに声をかけると、ようやく薄く店内を覆っていた場の緊張感が薄らぐ。
この感じは、好きだ。
結構会話も弾み、この辺りの見所や居酒屋などを聞く。
見所は予想通り「無い」というものであり、居酒屋は「行った事は無いが…」という注釈付きで幾つか教えてもらえた。
一応行く予定だったお遍路の寺は、普通にお寺らしいので、普通のお寺を見るために店を後にした。
何にせよ、自分一人では決して入らない店だ。
楽しかった。

本当に足が痛くなってきた。
しかし果敢に歩き回る。
寺は門を閉めているわけでは無いが柵が置かれており、文字通り門前払い。本日の営業は全て終了したといったところか。
なかなか腹も減らないので、街で一軒のおもちゃ屋兼ゲームセンターで時間を潰す。
ちょっと若い感じの人々が溜まっている。店長同様、俺たちと同い年くらいの風情。
もう息子とかもいるようで、偉いなあと思いました。
nagaがニュータイプの片鱗を発揮し、やたらと初プレイのガンダムで粘る。あまりに粘りすぎたらしく、ふと気付くと周りの電気や電源が切られていた。
そそくさと店を出る。

さっき紹介された「いろり」という居酒屋へ。暖簾がピリッとしていて好感が持てる。
中は盛況で、カウンターに座る。
二人とも体調はあまり良くないのだが、ウナギ、牛タタキ、焼き鳥その他諸々大変旨い。
楽しく飲む。
少し静かになってきたので店を出る。
他に目星を付けていた店で(怪しかったのだろう)微妙な満席を理由に再び門前払いされた後、カラオケ屋のおばちゃんに誘われたりしながらフラフラと歩き回り(相変わらず足は痛い)居酒屋へ漂着する。
流子と言うものが何なのか聞いてみると、要するにトコブシの事らしい。まだ煮てはおらず、生で置いてある。焼くのもいけるとの事。地味に初めてだったので、焼いてもらう。
随分丁寧に酒をかけながら焼いてくれた。旨い。
さっきのいろりで最後まで残って主人と話していたおっさんも流れてきた。
きっと、窪川の中では安くて素敵なコースだったに違いない。
最後に裏メニューらしい、ラーメンを食べて宿に戻る。
随分とさっぱりしていて、〆には最高だった。
帰り道は酒で感覚が麻痺しており、大して足の痛みを感じなかった。

宿の美人親子を起こさないように部屋へ戻り、ぐっすり眠る。
本当に居心地のいい宿だ。
東京からはちょっと遠すぎるけど。

2 Responses to 流れ旅日記5 高松~窪川

  1. nagashima より:

    朝のうどん店1軒目は「さか枝」。ここはうまかったなー。
    窪川の喫茶店は「COOL」という名前。いいぜ。

  2. べに より:

    おっ!
    またまたサンキュウw

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