悪人

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読了しました。

最近とんと小説を読まなくなって、実は久しぶりに読書した一冊です。

僕の場合、映画でもお芝居でもそうだけど、1つの作品から強いインパクトを受けた時って、その体験を人に話したくなるんだよね。
その作品を体験することで自分の感じたことや考えたことを話したくなるし、他の人はどう感じたかを聞きたくなる。

それはたぶん、その体験自体が自分の中でまだ整理できていなくて、「なんか衝撃受けたなー」ぐらいの感想しか出てこないのだけど、無性に掘り下げたいという気持ちが働いているんだと思います。

この作品は、そんな気持ちを呼び覚ましてくれるものでした。

以下、現状の感想


まだ体験を整理できていないので、感覚的な感想で申し訳ないですが、思ったことを書いてみます。

なぜ作品に引き込まれたかというと、登場人物たちを描くその描写に引き込まれたのだと思います。

作者の過去の作品をすべて読んだわけではないですが、なにか今回の作品には、ちょっとやそっとでは揺るがない文章の力を感じました。その画力でもって、特に作品の前半から中盤で描かれるのは、人の心の弱さや、不確かさや、時には醜さだったりします。そして、その心と心同士が理解しあえない「不和」の瞬間が、重ねて描かれています。
それらの描写がとても現代的で、僕にはその一つ一つが自分に思い当たる節があり、読みながら頭に血が上ったり、身悶えたりしました。

「人の世を作ったのものは神でもなければ鬼でもない。やはり向こう三軒両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国に行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。」

と書いたのは夏目漱石ですが、果たして現代はどうなんだろうか。
この「悪人」を読んでいて、正直、「いやー、現代の世知辛さもかなりのもんすよ」と思ってしまいました。

タイトルである「悪人」とはどんな人物か?

読んだ人の価値観によって、かなり解釈や感想が変わる気がしますが(この作品が好きか嫌いかも含め)、僕が読みながら思い出していたのは、夏目漱石の「こころ」と、芥川龍之介の「藪の中」でした。人の心の不確かさ、不可解さ、醜さ、寂しさ、美しさ。

ただ終盤には、作者の願いのようなものも込められていたのではないかと思います。
新聞での連載ということもあってか(たしか夏目漱石も、朝日新聞でずっと連載していましたね)、終盤から終わりまでは、かなりストレートに、疾走するように、人物たちの描写とともに、作者の想いが描かれているような気がしました。

以上です。
読んだ方、機会があったら感想聞かせてねー

One Response to 悪人

  1. miyaan より:

    吉田修一氏が自分のコラムで
    「こんなに評価されたのは初めて!」と
    かなりの「どや!?」感を醸し出していたよ!

    よし乗った

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